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大阪地方裁判所 昭和46年(わ)2792号 判決

本店所在地

大阪市福島区鷲洲本通二丁目六〇番地

池田工業

株式会社

右代表者代表取締役

池田煇

本籍

大阪市北区中之島七丁目九番地

住居

同市福島区鷲洲南二丁目一六番地

池田工業株式会社代表取締役

池田煇

昭和六年一月一五日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、検察官田辺信好出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人池田工業株式会社を罰金一、五〇〇万円に、被告人池田煇を懲役一年に処する。

被告人池田煇に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人池田工業株式会社は、大阪市福島区鷲洲本通二丁目六〇番地に本店をおき、合成樹脂成型品の製造販売業を営むもの、被告人池田煇は、右池田工業株式会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人池田煇は、被告人池田工業株式会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一、被告人池田工業株式会社の昭和四三年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が九一、〇四〇、六四三円、これに対する法人税額が三一、二六二、三〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外し、かつ架空の材料仕入および外注加工費を計上し、これによつて得た貸金を架空名義預金に預入れて簿外にするなどの行為により、右所得金額中八〇、一三〇、四五五円を秘匿したうえ、昭和四四年二月二八日大阪市福島区福島税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が一〇、九一〇、一八八円、これに対する法人税額が三、二三四、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税二八、〇二八、一〇〇円を免れ

第二、被告人池田工業株式会社の昭和四四年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、その所得金額が一四一、四四三、五七六円、これに対する法人税額が四九、一二一、六〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額中一二二、〇三九、〇〇六円を秘匿したうえ、昭和四五年二月二七日前記福島税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が一九、四〇四、五七〇円、これに対する法人税額が六、四〇八、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により法人税四二、七一三、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

判示全事実につき

一、収税官吏の被告人池田煇に対する質問てん末書一三通

一、同被告人作成の確認書一五通

一、同被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人池田工業株式会社の法人登記簿謄本

一、収税官吏の沢野佐陽子に対する質問てん末書三通

一、収税官吏の堀光夫、谷口茂夫に対する各質問てん末書

一、池田マサ子、高野嘉平、金沢昭明、須藤雅美、藤本満子、堀光夫、河村恒正、花岡信平、野本良治、福崎英夫(昭和四六年一月一四日付)、花水徳雄、小林淳二(査察記録一六の一五)、南荘郎(二通)、伊藤朝夫、北阪保三、若宮良行、三吉英一郎、植田寛(二通)、木田節夫、広津英明、林英二、目下部八州夫、三保宏(三通)、新居斎作成の各確認書

一、林英二、田路輝男作成の確認書

一、収税官吏福島清作成の昭和四五年一二月一一日付、同月一五日付、昭和四六年二月四日付各査察官調査書

一、収税官吏鈴木昭一、同稲田登作成の査察官調査書三通

一、収税官吏稲田登作成の査察官調査書四通

一、被告人池田煇作成の証明書

一、領置してある手形受払帳(佐野手書分、社長手書分)各一冊(昭和四七年押第七八号の一、二)、昭和四〇年、同四一年度個人関係株及税金関係書類一綴(同号の七)、昭和四三年度個人関係書類一綴(同号の八)、昭和四二年度個人関係書類一綴(同号の九)、昭和四五年度個人関係書類一綴(同号の一〇)、五十電気関係書類一綴(同号の一一)、計画表一綴(同号一二)、昭和四四年度個人支払買入明細計画表一綴(同号の一三)株式会社雄工社よりの機械代請求書一綴(同号の一四)、昭和四二年度夏工場増設計画についての文書一冊(同号の一五)、昭和四三年新工場社宅建設関係書類三綴(同号の一六)、印鑑、ゴム印四袋(同号の一七ないし二〇)、白地納品書、請求書、領収書合計九冊(同号の二一)、興和樹脂株式会社名義ほかの白地納品書、請求書、領収書六冊(同号の二二)、白地納品書、請求書、領収書七冊(同号の二三)、大阪化成株式会社名義ほかの白地領収書、納品書(同号の二四)、北田機工株式会社名義ほかの白地領収書三冊(同号の二五)、太陽樹脂商会名義ほかの領収書、請求書控三綴(同号の二六)、白地領収書ほか一綴(同号の二七)、東邦化成品商事株式会社名義領収書半片等書類三綴(同号の二八)、昭和四五年一〇月、一一月分共同樹脂株式会社名義ほかの納品書、請求書、領収書七綴(同号の二九)、金銭出納帳と幸福相互銀行定期預金明細帳一冊(同号の三〇)、金銭出納帳と表示の大和銀行定期預金明細帳一冊(同号の三一)、元帳と表示の住友銀行定期預金明細帳一冊(同号の三二)、金銭出納帳と表示の定期預金明細帳一冊(同号の三三)

判示第一の事実につき

一、片山修三、井上正士、橘弘三作成の各確認書

一、小林淳二作成の確認書(査察記録一六の一四)

一、舟木善郎作成の供述書

一、収税官吏福島清作成の昭和四五年一一月一七日付、同年一二月一二日付各査察官調査書

一、福島税務署長作成の昭和四三年度法人税確定申告書謄本

一、領置してある昭和四三年分決算資料一綴(前同押号の四)、同年仕訳票簿一二綴(同号の五)

判示第二の事実につき

一、福崎英夫作成の昭和四五年一二月一五日付確認書

一、行武工、田端宗一、松本繁夫、芳本治、井上忠雄(三通)作成の各確認書

一、収税官吏三木政規作成の現金預金有価証券等現在高検査てん末書

一、収税官吏福島清作成の昭和四五年九月二二日付、同年一二月四日付、同月八日付各査察官調査書

一、収税官吏阿部浩二作成の査察官調査書

一、福島税務署長作成の昭和四四年度法人税確定申告書謄本

一、領置してある昭和四四年分決算資料科一綴(前同押号の三)、同年仕訳票簿一二綴(同号の六)

(法令の適用)

被告人池田工業株式会社の判示各行為は、それぞれ法人税法一五九条一項、一六四条一項に該当するところ、情状によりそれぞれ同法一五九条二項を適用することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条により各所定罰金額(判示各逋脱額相当)を合算した金額の範囲内で同被告人を罰金一、五〇〇万円に処する。

被告人池田煇の判示各行為は、それぞれ法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 梶田英雄)

右は謄本である

昭和四七年五月二三日

大阪地方裁判所第三六刑事部

裁判所書記官 津司竜三郎

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